楷恭介は青京女子大学で助教授の心理学を担当するとともに、人間心理学を研究する対外実習研究として心理指導事務所を経営している。ファイル1の物語は、一流企業で総務を務め、仕事にやる気満々だった冠野梓が、高層ビル恐怖症やゾンビの悪夢に悩まされ、楷恭介心理研究所に原因を求めにやってきたというものだ。本人にはわからないが、顔にほくろがある男が嫌いで、上司とは人に言えない奇恋をしている。楷は深く理解した後、彼女の「心の病」を引き起こした原因は梓自身が気づかなかった「幼い記憶」に由来していることに気づいた。彼女がわざわざ忘れていた過去の中には、いったいどんな秘密があったのだろうか。今回の付録特別短編「祝福」は、著者の亜樹直氏が言うように、「正常な人にとって、現代社会では『異常』なことが非常に一般的だが、ますます生きにくくなっている。だから異常に『適応』できずに心の病にかかる人も増えている。心理学はこの退廃的な気風を検討する鍵であり、楷恭介は時代の解説者と言える」。楷恭介と一緒にさまざまな心の旅をしてみよう