バイバニア戦争から身を隠して脱走した日本の脱走兵天下太平は、一転して人工授精の実験品となった。しかし、彼の特異な精子を介して育てられた子孫は、第3の性別を持つ遺伝子突然変異人種ばかりだった……。1968年に作られた『人種を集める』は、ヒトラーのファシズム的な考え方をSF的に風刺した幻想的な大人の政治喜劇だった。軽妙で誇張されたストーリーには、深刻な警世の意味がある。手塚は「両性は世のあらゆる紛争の根源」と考え、両性を超えた第三の性人類を生み出した。しかし、第三性人種はセックスがないため、子孫を繁殖させる能力を失い、生命に目標を欠き、連帯して感情を失い、完全に物化して戦争、奴隷の犠牲になった。漫画の中で医学界を震撼させた様々な仮想は、人間と「無性の人間」に直面した時の私欲と貪欲さ、その後それに反して被害を受けた末路、この大作を大人の読者に広くあがめられている！…