漫画家の荒川弘は北海道十勝の庶民に生まれ、荒川弘美はすでに母親であるほか、漫画家になる前に北海道の家で7年間酪農生活を送っていた。野菜を作り、牛を飼い、熊と格闘し、栗鼠を捕らえるなどの難関が、毎日の生活を埋め尽くしている。風が吹いても雨が降っても休めないのが農人精神だ。牛乳を飲むことができるからといって牛を飼うことができるとは限らないが、都市を離れて牛を飼うことだけが味を知っている。「水がなくて牛乳が飲めないの？」そんな貴族的な庶民の発言に、読者は大笑いしながらいつしか「農業」を見直し、農村の知られざる一面を暴いていく。『百姓貴族』は爆笑たっぷりの内容のほかに、牛おばさんの以前の生活背景を見ても、鋼鍊の中の生活態度が著者がどのような環境でインスピレーションを受けたのかをより実感することができる