原哲夫は、1961年に日本の東京で生まれた。1982年に週刊少年ジャンプで『鉄人ドン?キホーテ』を発売。1983年から1988年にかけて発売された有名漫画『北斗の拳』（脚本：武論尊）は大きな反響を呼び、『少年ジャンプ』誌の400万部発行の原動力の一つとなった。単行本は世界で億を超え、20世紀の日本で最も影響力のある漫画の一つとなった。その後も『花の慶次』、『影武者徳川家康』、『戦国風雲録』など重要な作品を数多く世に送り出した。原哲夫氏は技撃漫画の一代宗師とも言えるほど、後輩に与える影響は大きい。
『北斗の拳』（以下『北』）といえば、ほとんどの人は血だらけの爆裂、切断された死体、暴力と血生臭いものを連想するだろう。しかし、この鮮血池には、真っ赤なバラが育っていた。それは『北』の中の情と愛の結晶である。『北』の世界は、荒廃した世界であり、法律も道徳の準縄もなく、力だけが生存の根本である。すべては核戦争の洗礼後に原始に戻り、人の感情もその荒廃した年代に戻り、一部の人は従順に野蛮な原始人になり、一部の人は自分の感情を浄化して荒廃した砂漠のオアシスになることを選んだ。原始と純真が衝突したこの時代、情と愛のバラが咲き誇る輝きは格別だった。『北』の情愛は小さな男女がいちゃつく遊びではなく、童話の中の王子と王女の絡みはなく、『北』が持っているのは、人間の心に埋もれて最も真摯で、最も素朴な情愛である。2人の女性がいて、『北』という荒廃した世界にいくつかの優しさを飾り、錚々たる鉄漢たちの魂を夢に輝かせ、命を犠牲にすることさえいとわなかった。それはユリアとマヤだった。
西元199 X年、世界は核兵器の洗礼を受け、山が崩れ、地が裂け、海水が枯渇し、人類の文明はほとんど一度に破壊された。しかし、人類はそれで滅亡したわけではなく、少数の人が残されたまま、暴力的な支配に転落した世界に生きている……。